コールマン400ジェネレーター黒レバー再生修理事例

コールマン508-5891

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上の写真はショップでお預かりしたコールマン400のジェネレーター。

コールマン流山修理センターに修理依頼したものの、「パーツがないため修理不可」というよくあるパターンで返送されてきたモデル400から取り外したものです。

下の写真が一緒にお送りいただいたコールマン社の修理伝票。

コールマン社の修理伝票

コールマン社における修理

コールマン社の修理について、特にランタンとストーブに限ってはパーツ交換、もしくは分解清掃という位置付けで理解しておいた方がよさそうです。

ショップでお預かりする個体の多くが、「パーツがないため修理不可でコールマンから返送されてきた。」というものになります。

今回のストーブ、コールマンに送る前は黒レバーが固着していたため、無理に動かさなかったということでしたが、返送されてきた時には折損していたようです。

固着した黒レバーをそのまま無理に動かせば、折損するリスクが高いです。

当方はコールマンに修理依頼をしたことはありませんが、グラファイトパッキン交換というようなオールドコールマンでは当たり前の作業も、コールマンではやっていません。

オールドコールマンユーザーが求める修理と、コールマンが提供できる修理作業には大きな違いがあると思っていたほうがいいと思います。

黒レバーの状態

おそらく、コールマン流山修理センターで黒レバーが折損してしまったジェネレーターが下の写真。

黒レバーが折損したコールマン508-5891

黒レバーの再生には、内部に残った折損したレバーを取り出す必要があります。

折損部の取り出し

下の写真のように、バーナーで折損したレバーが残っている部分を温めると、金属膨張の効果で折損したレバーとスペーサーが取り出せると思います。

バーナーで折損したレバーが残っている部分を温める

ただ、今回のジェネレーターはスペーサーの固着がひどく、下の写真のようにジェネレーター管のロウ付けをはがすことにしました。

ジェネレーター管のロウ付けをはがす

GB-2001というガストーチを愛用していますが、ピンポイントで熱すべき場所が狙えますので、余計な部分のロウ付けまで剥がす心配が少なくなります。

ロウが溶けると、下の写真のようにジェネレーター管がポロっと外れます。

ジェネレーター管

ジェネレーター管が外れた部分から、下の写真のように千枚通しなどを使って折損したレバーが残っている部分を押し出します。

千枚通しなどを使って折損したレバーが残っている部分を押し出す

折損したレバーが残っているうちはエキセントリックブロックも内部に入っていますので、誤ってエキセントリックブロックを破壊しないように気を付ける必要があります。

上の写真のように、折損したレバー部とエキセントリックブロックが無事取り出せたら、黒レバー再生修理はほぼ成功です。

部品の洗浄

ジェネレーター管をロウ付けで戻しますので、取り出した部品と一緒に洗浄します。

ショップでは時間短縮とジェネレーター管の内部洗浄を兼ねて、超音波洗浄機を使用しています。

ジェネレーター管のロウ付け

ジェネレーター管のロウ付け
ジェネレーター管のロウ付け

黒レバーの素材

黒レバーの作成

ショップでは線径2.3mmのステンレスワイヤーを10cmにカットして黒レバーの作成に使用しています。

純正ジェネレーターの黒レバー線径とほぼ同じです。

線径は多少細くても、六角ナットをやや強く締め付けることで使用できます。

黒レバー先端の加工

黒レバー先端の加工

黒レバー先端の加工はニードルの動作量を決める重要な作業工程です。

ショップでは、純正部品に重ねて専用工具を使い手作業で加工しています。

黒レバーの先端加工

下の写真のように、数百円で購入できるワイヤー曲げツールを使用しても同様の加工ができます。

ワイヤー曲げツール

グラファイトパッキンの充填

グラファイトパッキンの充填

上の写真のように、先端加工をした黒レバーにスペーサー、グラファイトパッキン、六角ナットの順で組付け、動作確認のためにエンド部を少し曲げておきます。

グラファイトパッキンは成形済みのもの、テープ状のものいずれでも問題なく動作します。

エキセントリックブロックをステム組み込んでから、作成した黒レバーを差し込みます。

エキセントリックブロックには向きがあり、下の写真の状態ではエキセントリックブロックの切れ目は下になります。

黒レバーの動作量

黒レバーの動作量については純正新品ジェネレーターでも個体差があり、新品でもモデル400本来のとろ火にならなかったりするものもあります。

クリーニングニードルの突き出し量は、強火側がステムから4mm前後、弱火側が0mm前後であれば、モデル400本来の動作をするかと思います。

上の写真が弱火側、下の写真が強火側になります。

クリーニングニードルの突き出しに合わせて、黒レバーの最大火力位置、最小火力位置を調整してステンレスワイヤーをグイっと六角ナット部から曲げます。

黒レバーエンド部の曲げ加工

黒レバーエンド部の曲げ加工

黒レバーエンド部は曲げ加工をしなくても動作に支障ありませんが、オリジナルにこだわるのであれば、折損した部品を重ねながら現物合わせで加工するといいでしょう。

燃焼確認

コールマン400
コールマン400の燃焼確認

モデル400、505、576など、2レバータイプのピークワンストーブのジェネレーター修理やグラファイトパッキン交換でお困りの際はご相談いただければと思います。

2レバータイプジェネレーターのグラファイトパッキン交換は工賃5,000円、折損した黒レバーのリプレースメント品作成は工賃10,000円、いずれも税込でお請けしています。

2レバータイプジェネレーターの新品価格は2025年現在20,000円前後ですので、新品への交換前にジェネレーターの延命を検討してみる価値はあるかと思います。