ホエーブス No.9 アルコールストーブの再塗装

ホエーブスストーブNo.9

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上の写真はホエーブス No.9、重力加圧式アルコールストーブのレストア完了品。

ホエーブスNo.625や725などはよく目にしますが、1920年代に作られたアルコールストーブにも多くのモデルが存在します。

ただ、ホエーブスアルコールストーブのレストアについては国内外にも情報が乏しく、私も毎回試行錯誤の連続です。

先日、オーストリアから入手したこのホエーブス No.9も、固着したVaporiser(ベポライザー)が取り出せず苦労しました。

また、下の写真のように塗装の状態が悪かったため、思い切って再塗装をすることにしました。

ホエーブス No.9
ホエーブス No.9

古い塗装の剥離

1920年代に作られたホエーブスの塗料の種類は不明ですが、たいていの塗料の剥離が可能な薬剤、スケルトンM-201を使い古い塗料をはがします。

スケルトン塗料剥離剤
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スケルトンは超強力な塗料剥離剤ですが、人体に有害な成分を含んでいます。

換気の良い場所、保護メガネ、厚手のゴム手袋等を揃え、しっかり作業環境を整えることが重要です。

薄手のゴム手袋は薬剤で溶けますので、二重にするなどの対策が必要です。

使用するスケルトンを受ける塗料容器も、使い捨ての薄いプラスチックカップは溶けますので、金属製の塗料容器を用意しましょう。

塗料剥離

上の写真のようにスケルトンを素材に刷毛で塗っていきます。

塗料の種類にもよりますが、スケルトンを塗って2~3分ほどで、下の写真のように塗膜が浮き上がってきます。

塗料剥離

一度で塗料が剥がしきれない場合には、何回か塗っては剥がしを繰り返すと、下の写真のようにあらかたの塗料をはがすことができます。

塗料剥がし

スケルトンで剥がした塗膜は適切に廃棄する必要がありますが、スケルトンは水に流れますので、塗料剥離後の後処理は水洗いでOKです。

下の写真のように、スケルトンで剥がしきれなかった塗料は、機械を使い研磨で除去していきます。

残った塗料
残った塗料

塗料の選定

1920年代のホエーブスに何の塗料が使われていたのか、海外のフォーラムなども調べてみましたが、結局わかりませんでした。

ゴトクに直接火があたりますので、耐熱性がある塗料が使われているはずですが、現在使われているようなシリコン系の耐熱塗料が登場するのは1950年代に入ってからです。

また、他に2台持っているホエーブスNo.9も見てみると、いずれもゴトクの塗装にわずかな溶けがあります。

完全な耐熱性を持った塗料というより、ある程度熱に強い塗料ということになりそうです。

耐熱塗料には耐熱性を持たせるためシリコーン樹脂などを混ぜますが、そうすると完全な艶ありにはなりません。

ホエーブスNo.29などのアルコールストーブには艶あり塗装もあり、耐熱塗料は選択肢から除外しました。

1920年代の自動車などに使われていたのがエナメル塗料です。

エナメル塗料はアルコールに溶ける性質がありますが、ある程度の耐熱性があります。

艶ありのモデルがあることや年代を考えると、この時代のホエーブスにもエナメル塗料が使われたのではと推察します。

エナメル塗料は乾燥時間も長く垂れやすいですが、綺麗に仕上がるのが特徴です。

下の写真のように、オリジナルに近い感じに仕上がりました。

再塗装後のホエーブスNo.9
再塗装後のホエーブスNo.9

燃焼確認

再塗装後の外観

ホエーブスストーブNo.9
ホエーブスストーブNo.9
ホエーブスストーブNo.9
ホエーブスストーブNo.9
ホエーブスストーブNo.9
ホエーブスストーブNo.9

心配していたエナメル塗料のアルコールによる溶けも、塗装面の上にこぼれた燃料をふき取る程度では溶けだすようなことはありませんでした。

1時間ほど連続燃焼させてみましたが、塗料に引火するようなこともなく、直接炎のあたるゴトク部分もほとんどダメージを受けていない感じです。

確証はありませんが、ホエーブスNo.9に使われた塗料はおそらくエナメルかと思われます。

情報をお持ちの方がいらっしゃれば、ご教示いただければ嬉しいです。

今回レストアしたホエーブスNo.9は、以下のページからご購入いただけます。