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上の写真はコールマン400系ストーブや275ランタンのフィードチューブに使われている、バルブコアです。
例えば、下の写真にあるコールマン 505/576ストーブ用フューエルチューブ、品番505-1485にも装着されています。
コールマン以外では、下の写真のようにオプティマス323の燃料バルブにもバルブコアが2個使われています。
バルブコアは燃料タンクから吸い上げるガスのON/OFFを制御する重要部品で、シュレーダーバルブ(Schrader Valve)とも呼ばれます。
コールマン品番で275-1171に該当する部品ですが、耐油性がありサイズが同等であれば、純正品にこだわる必要はありません。
自動車やバイクのタイヤチューブにも使用されるバルブコアですが、その多くは安価ではあるものの耐油性がなく、パッキンがガソリンに侵されますので注意が必要です。
ランタンやストーブに使用するバルブコアを選ぶ際には、フューエルライン用のものを選びましょう。
このバルブコア、専用工具の虫回しやラジオペンチで取り付け、取り外しができますが、適正な締め付けトルクがあるのをご存じでしょうか。
国内のタイヤバルブメーカーのひとつ、太平洋工業株式会社によると、バルブコアの適正締付トルクは29N・cmです。
市販されているトルクレンチの単位に直すと、0.29N・mになります。
さらに、取り外されたバルブコアの再使用は推奨されていないため、取り付けも一発で決めることが望ましいでしょう。
0.29N・mがどれくらいの力かはトルクレンチを使うとわかりますが、かなり簡単に達してしまうかと思います。
つまり、バルブコアを感覚だけで締め付けると、締め付けすぎる可能性が高いと言えます。
例えば、下の写真をご覧になってみてください。
「燃料バルブを閉じても火が消えない。」という症状でお預かりした、ピークワンストーブの修理品から取り外したバルブコアです。
締め付けすぎにより白いパッキンが完全に潰れてしまっており、パッキンの役目を果たせず燃料タンクから吸い上げるガスが止まらない状態でした。
この症状の場合には、バルブコアの交換だけで直ります。
バルブコア自体の値段は安いのですが、適正なトルクで締め付けないと何度交換しても正常な消火はできません。
バルブコアツール
バルブコアツールには上の写真のようなものがあります。
バルブコアの締め付けは、緩すぎるとパッキンの隙間からガスが漏れ、きつく締めすぎてもパッキンが破損してガスが漏れます。
もっともベーシックな工具は下の写真の虫回しで、安価で使いやすいのですが、締め付けトルクの管理ができません。
バルブコアを適正トルクで締め付ける代表的な工具を3つご紹介します。
- トルクレンチ
- トルクドライバー
- バルブコア専用ツール
トルクレンチ
上の写真はAmazonで購入したデジタルトルクレンチで、測定範囲が0.3~10N・mとなっており、バルブコアの締め付けにギリ使える仕様です。
価格が8千円ほどしますので、バルブコア専用としてだけではなく、ジェネレータージャムナットの締め付け等にも使用する目的であれば、購入もありかと思います。
実際に使用する際には下の写真のように、1/4角のビットソケットに1/4HEXバルブコアビットを用意する等の工夫が必要になります。
ただ、このトルクレンチは空転式ではないため、トルクを0.3N・mにセットしても、締め付けトルクが0.3N・m近辺に達したときにアラームが鳴るのみです。
きっちり規定トルクでバルブコアを締め付けるのは難しいでしょう。
工具の構造上、使用時にてこの原理が働くので、0.3N・mという小さなトルクでの締め付けでは、どうしてもオーバートルクになってしまうかと思います。
空転式ではない一般的なトルクレンチは、バルブコアの締め付けには向かないと言えます。
トルクドライバー
上の写真はAmazon等で販売されている、良匠というメーカーの空転式のプリセット型トルクドライバーです。
空転式のプリセット型というのは、あらかじめセットしたトルクに達すると、ドライバーが空回りして規定値以上のトルクがかからない仕様です。
例えば、バルブコアの適正締付トルク0.29N・mにセットすれば、きっちり0.29N・mで締め付けることができます。
私は0.05-0.6N・m用のトルクドライバーを使用していますが、同メーカーの0.1-1.2N・m用のモデルであれば、バルブコア以外の作業にも重宝するでしょう。
使用方法もデジタル式トルクレンチより簡単で、下の写真のようにダイヤルを回してトルク値をセットするだけです。
ラチェット式のトルクレンチと同じように、トルクが設定値に達すると「カクン」と空回りして設定値以上のトルクがかからない仕様になっています。
一般的なビットドライバー同様、差込口が1/4HEXなので、バルブコア以外の作業にも重宝するでしょう。
下の写真のようにバルブコアツールとして使用する際には、1/4HEXバルブコアビットが必要です。
バルブコアの適正締付トルク、0.29N・mできっちり締め込みたいのであれば、トルクドライバーがイチオシのバルブコアツールと言えます。
バルブコア専用ツール
バルブコアのトルク管理に特化したツールとしては、WORLD IMPORT TOOLSが販売している「WIT タイヤバルブコア専用トルクドライバー」があります。
車やバイクのバルブコアのトルク管理に必要な工具がひとまとめになったセット商品です。
SIGNETミニスタビードライバー、0.3N・mのトルクスリーブ、1/4HEXバルブコアビット、両頭ドライバービットも付属します。
バルブコアの締め付けでは、私もこのツールを使うことがほとんどです。
0.3N・mのトルクに達するとトルクスリーブが空転する仕組みになっていて、それ以上回してもトルクがかかりません。
トルクスリーブが空転する際に「カチカチ」と音が鳴り、規定トルクに達したことがわかりやすいのが特徴です。
使い方は超シンプルで、何も設定は必要ありません。
下の写真のように、虫回しと同じようにバルブコアを回すだけです。
バルブコアの適正締付トルク0.29N・mより、わずかに0.01N・m高いですが許容範囲でしょう。
コールマンの場合、もともと工場出荷時にとんでもないトルクで締め付けられていたりもします。
まとめ
バルブコアの適正締付トルク、0.29N・mできっちり締め込みたいのであれば、トルクドライバーがおすすめです。
トルクドライバーなら、バルブコアの締め付け以外にも様々な用途で使用できます。
バルブコアツール単体としては、WIT タイヤバルブコア専用トルクドライバーがいいでしょう。
一般的なトルクレンチは、バルブコアツールとしては向かないと言えます。
WIT タイヤバルブコア専用トルクドライバーは価格もお手頃なので、持っておいて損はない工具です。